株式会社長沢製作所の創業は1916年。100年以上の歴史を持った企業となります。
建築金物の製造販売メーカーですが、創業当時から根付いている創意工夫の精神により42年前に誕生した機械式構造のボタン錠「キーレックス」。発売後40年を超えた今でも多くの方々にご使用いただき、また新商品の開発を継続しております。本ページでは「キーレックス」開発の想いと新たに商品化された「キーレックス3100表示錠」の開発秘話についてお伝えいたします。
キーレックスとは
まずは「キーレックス」についてご説明します。
キーレックスとは扉に取り付ける、“子鍵 ( キー ) を使わずに暗証番号で解錠することができる鍵”です。
現在は交通機関、医療施設、ファストフード店、建設現場等、様々な現場でご利用いただいております。
鍵管理も電気も不要な暗証番号式ボタン錠「キーレックス1000」の誕生
キーレックス1000
キーレックスの特徴は以下の3点です。
- 電気が不要なので配線工事や電池交換が必要なく、雨がかかる外にも使用できること
- 暗証番号で扉があけられるので、鍵を関係者に渡す必要もなく、鍵の管理が不要となること
- 自動施錠タイプもあり、鍵のかけ忘れなどが防げること
そんなキーレックスが初めて商品化されたのが今からさかのぼること42年前。1981年に第一号機となる「キーレックス1000」が発売されました。
「かぎっ子を世の中から無くしたい」。高度経済成長時代の子供の安全を守るための挑戦
【代表取締役社長】
長沢昌幸
当時は高度成長期の真っただ中、巷では「かぎっ子」と呼ばれる子供たちが増えていました。両親とも仕事で家にいないので、子供が自宅の鍵を首からぶら下げるなどして学校から帰った際に、自ら自宅の鍵を開けることが多かったのです。
鍵を持ち歩かないといけないので、中には紛失してしまったり、自宅に忘れたりなどして自宅に入れずぽつんと玄関前で親の帰りを待っている子供も少なくありませんでした。
そんな光景を見た当社の先代が、「かぎっ子を世の中から無くしたい」との思いで、鍵を持ち歩く必要のない暗証番号で開けられるボタン錠の開発を開始したのが始まりでした。
その後、繰り返しの試行錯誤で開発を進めていったのち、ようやく初号機となる「キーレックス1000」の発売にこぎつけましたが、当時はボタン錠など普及しておらず、月に100セットも出荷できれば御の字といった具合でした。
ただ、その当時から海外への販売にも目を向けており、特に鍵の先進国といえるヨーロッパではキーレックスを高く評価していただき、販売契約にこぎつけることが出来たのです。
それからというもの、国内外からのお得意様からのご要望を聞き取りしながら改良、新機能の設定に取り組み、今では6シリーズ、300アイテムのバリエーションを持つ機械式ボタン錠のリーディングカンパニーとなっております。
IoTを活用した遠隔施錠解錠管理システムとその利用可能性
ダッシュボードで使用状態を確認
開発当初は表示窓をキーレックスに装着するといった構想はありませんでした。
当時はキーレックスのIoT仕様の開発を進めており、その機構開発では電気を必要としない自己発電式のICをキーレックスに組込みし、室内側ツマミの施錠・解錠操作を感知させ遠隔でキーレックスの施錠・解錠 ( 入室・退室 ) 管理ができる仕組みづくりを行っていました。
ターゲットとしていたのはレンタルルームや貸しオフィスなどです。
ある程度の開発が完了した時点でリサーチを行ったところ、ターゲット市場では既にスマートロックが採用されており、正にレッドオーシャン市場となっていることが判明した為、急遽ターゲット先の見直しを行うことに。
お手洗いへのニーズが判明
あらためてターゲットを模索していたころ、トイレにキーレックスを使用したいとのお問い合わせがあり、お問い合わせ先からの条件として、次の内容が提示されました。
- 室外側に表示窓があること
- 室内で施錠ができること
- 室内からのレバー操作で解錠状態に戻ること
この条件の2番、3番の項目はキーレックスIoT仕様と合致していたのです。
このことを機に、キーレックスのトイレへの使用ニーズがあること分かり、あらためて得意先に対し調査を行ったところ、スターバックス様などのコーヒーショップやモスバーガー様などのファーストフード店、オフィスビルのトイレなどいたるところで既にご使用されていることが判明いたしました。
その情報をもとに表示窓を搭載し、室外側から「使用中が一目でわかる」キーレックスの開発に舵を切ったのです。
利用状況が一目で分かる。安全確認が容易で安心な「キーレックス3100表示錠」
キーレックス3100表示錠
【K323CMH】
キーレックス3100表示錠は表示窓で利用中が一目でわかることとともに、室内側から鍵を掛けた時には暗証番号が押せなくなり、利用者は安心してご利用いただける商品となります。
このような利点は「トイレ」のほか、「更衣室」「会議室」「シャワールーム」「仮眠室」などでも要望されている機能であることが得意先様からのご意見から明確になり、他の有効となりえる使用場所についても調査を行っている段階となっております。
もちろん、IoT機能につきましては複数台ご使用いただく使用先において遠隔での一元管理が必要になると考え、継続して商品化につなげられる使用ニーズの獲得に努めております。
愛されるキーレックスへ。ニーズに応える商品開発で未来を切り拓く
【3100表示錠企画者】
営業部 森田
【3100表示錠開発者】
企画開発部 新井
キーレックスのご利用について、日々ご要望されるお客様からの利用ニーズに対し、今後とも真摯に受け止め、引き続き愛される商品創りに邁進して参ります。
「気が付いたらそこにもキーレックス」この言葉が現実となる未来に向けて。